残業代の計算はここを押さえる!基準内賃金と所定労働時間の考え方
「残業代は基本給を時間で割ればいい」と思っていませんか?
実はそれだけでは正しくありません。残業代を計算するには、基準内賃金と所定労働時間の考え方を理解しておく必要があります。
基準内賃金とは?
基準内賃金とは、所定労働時間に対応して毎月必ず支払われる賃金で、残業代計算のベースになるものです。
基準内賃金に含まれるもの
- 基本給
- 役職手当・職務手当・資格手当
- 皆勤手当(出勤状況にかかわらず「労務の対価」として扱われるため含まれる)
- 住宅手当・家族手当(一律支給される場合)
基準内賃金に含まれないもの
- 通勤手当(交通費精算の性質に近いため)
- 住宅手当・家族手当(条件に応じて変動する場合)
- 出張手当、慶弔見舞金、臨時の賞与など
つまり、個人の事情に左右されない手当は基準内賃金に含まれるのが原則です。
「皆勤手当」は一見すると対象外に思われがちですが、裁判例でも基準内賃金に含まれるとされています。
所定労働時間の考え方
残業代を計算するには、基準内賃金を所定労働時間で割り、1時間あたりの単価を算出します。
ここでいう所定労働時間は、会社が就業規則や雇用契約で定めた労働時間です。単に「1日8時間×20日=160時間」と計算するのではなく、年間の休日数を考慮して求める方法が一般的です。
所定労働時間の求め方(例)
- 1年の日数:365日
- 年間休日:120日
- 年間労働日数:365 − 120 = 245日
- 1日の所定労働時間:8時間
- 年間労働時間:245日 × 8時間 = 1,960時間
- 1か月平均の所定労働時間:1,960 ÷ 12 ≒ 163.3時間
この「1か月平均の所定労働時間」で基準内賃金を割り、残業代の単価を計算するのが正しい方法です。
具体例
月給30万円のうち基準内賃金が28万円、年間休日120日、1日の所定労働時間8時間の場合:
- 月の所定労働時間:163時間
- 1時間あたり単価:28万円 ÷ 163時間 ≒ 1,717円
- 残業代(25%割増):1,717 × 1.25 ≒ 2,146円
まとめ
- 残業代の基礎は基準内賃金
- 1時間あたり単価は基準内賃金 ÷ 所定労働時間で求める
- 所定労働時間は365日 − 年間休日 × 1日の労働時間 ÷ 12で算出
- 住宅手当・家族手当は一律支給なら基準内賃金に含む
- 皆勤手当も基準内賃金に含まれるため注意が必要
基本給だけで単純計算してしまうと、未払い残業代が発生し、後から多額の請求につながります。正しい計算ルールを理解しておくことが、会社と従業員双方の安心につながります。


